不妊検査

梅ヶ丘産婦人科では、不妊領域で行われる検査のほとんどすべてを当院のみで完結することができます。ほとんどが3分以内に終わる検査であり、当日に検査結果をお伝えできるものもあります。

梅ヶ丘産婦人科では、不妊領域で行われる検査のほとんどすべてを当院のみで完結することができます。ほとんどが3分以内に終わる検査であり、当日に検査結果をお伝えできるものもあります。

1.排卵や卵巣状態を調べる検査

1.排卵や卵巣状態を調べる検査

基礎体温

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毎朝、起きた直後に婦人体温計を舌の下にはさんで舌下体温を計り、基礎体温表に記入します。低温相と高温相の2相に分かれていれば排卵があったと判断します。排卵すると卵巣から出るプロゲステロンというホルモンが、視床下部の体温中枢に作用して基礎体温を0.4-0.6度上昇させます。
ただ基礎体温が2相性に見えていても実際には排卵していないこともありますし、1相性に見えても排卵していることもあります。基礎体温は診断の補助にはなりますが、確実に排卵したといえるためには超音波検査が必要になります。
基礎体温の下降日が排卵日といわれてきましたが、そうとはいえないことが最近わかってきています。排卵前から基礎体温が上昇する人もいれば、排卵の数日後に基礎体温が上昇する人もいます。基礎体温の高さ、上がり方、高温相のときに下降する日があるなどは、妊娠とは関係はありません。基礎体温だけでは、いつ排卵するかは特定できませんので、基礎体温表に過敏にならないことが重要です。
ただ不妊治療中にときどき排卵したかどうかの判断の参考になることがあります。以前ほど重要な検査ではなくなりましたが、たとえば基礎体温が1相性であれば排卵が起きていない可能性も考えられますので、とくに月経不順の方は可能であれば基礎体温をつけることをおすすめします。ただし、定期的に受診されているかたで、基礎体温をつけることがストレスになるようであればつけなくても構いません。

ホルモンの血液検査

月経が数カ月に1回しか来ない人や、月経と月経の間隔が不規則な人は排卵が起こりにくいと考えられます。何が原因で排卵が起こりにくいかを調べるのがホルモン検査です。採血をして、脳下垂体ホルモンのFSH、LH、プロラクチン、卵巣ホルモンのエストラジオール、プロゲステロンなどを測ります。

脳の視床下部と下垂体・卵巣は、それぞれが分泌するホルモンでお互いのホルモン分泌を調節しあっています。FSHは卵胞を育てるホルモン、LHは排卵を起こすホルモン、プロラクチンは乳汁産生と月経不順を起こすホルモン、エストラジオールは卵胞が育ってくると上がるホルモン、プロゲステロンは排卵後に上がってくるホルモンです。たとえば、月経周期不順を起こす多嚢胞性卵巣症候群の方では、LHがFSHより高くなることが知られています。

また甲状腺ホルモンの血液検査も行います。甲状腺ホルモンは全身の代謝を司るホルモンですが、流産・早産と明確に関係があります。また甲状腺ホルモンが正常範囲内の数値であっても、潜在性甲状腺機能低下症といって妊娠を希望する方はもっと厳格にコントロールをしたほうがよいことが知られています。当院では基本的には初診時に甲状腺ホルモンの採血を行わせていただきます。

男性においても、ホルモンは精子の形成に重要な役割をしています。LH・FSHの値が低い場合には低ゴナドトロピン性性腺機能低下症といって男性ホルモンが低下したり、精子の数や運動率が低下します。当院では男性不妊外来を受診された際に採血させていただいています。

数年前から行われはじめた検査で、卵巣の中にどれくらいの数の卵子が残っているかを調べるための検査です。
女性は生まれる前にすべての卵子ができています。20歳で排卵する卵子は20年前に作られた卵子で、40歳で排卵する卵子は40年前に作られた卵子です。性成熟期になり排卵が始まると、毎月約1,000個の卵子が最終成熟を開始し競争し、敗れた卵子はなくなっていきます。そして3カ月後に1個の卵子が排卵します。このように毎月多くの卵子が減っていきます。AMHは原始卵胞からすこし先の前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、このホルモンと残っている卵子数はほぼ比例するため、残っている卵子の数を表す指標とされています。
当初は卵巣年齢を調べるための検査という言い方をされていました。確かに一人の人をとってみると年齢とともにAMH値は低下していきますが、人によりAMH値が非常に異なるため、年齢別の平均値や中央値と自分のAMHと比較して多少高くても低くてもあまり意味はありません。ただAMHが非常に低い場合には閉経が早くなる可能性があり、ステップアップを急ぐ必要があります。
またAMH値は卵巣に残っている卵子の数を示すだけで、妊娠のしやすさを示すものではありません。AMH値が0に近いのに妊娠される方も多くおられます。
AMHは、体外受精/顕微授精を行う際にどのような卵巣刺激法を選択するかを決めるための非常に重要な指標になります。

超音波検査による卵胞の観察

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卵子は卵胞液で満たされた卵胞という袋に入っています。卵胞は月経が終わる頃から毎日直径が約1.5mmずつ大きくなり、直径が20mm程度になると脳下垂体からLHが大量に分泌され、それが卵胞に伝わると卵胞が破れて中から卵胞液と共に卵子が腹腔内に流れ出します。これが排卵です。

超音波で卵胞を観察していくと、排卵に近づくにつれて卵胞がだんだん大きくなり、排卵とともに卵胞が消えてしまうのがわかります。このように排卵前後に何回かの超音波検査をすることにより排卵の時期を知ることができ、また排卵を確認できます。確実な排卵日を知るためには尿中LH検査と組み合わせます。また、超音波では卵胞は観察できますが、卵子は直径が0.1mm程度なので、卵子そのものは観察できません。

また、頻度は多くはありませんが、黄体化未破裂症候群(LUF)といって、排卵はしなくても黄体がつくられることにより基礎体温が上がる場合があります。基礎体温だけでみていると二相性になっていても、実際にはずっと排卵していないことがあります。その場合には排卵していないので妊娠はできません。このような場合でも超音波で観察することにより明らかにし、また薬物治療により排卵させることができるようになります。きちんと超音波で排卵を確認することが重要です。当院では基本的に毎回超音波を行っています。
排卵障害に対する薬物療法はこちら

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

卵巣の中にどれくらいの数の卵子が残っているかを調べるための検査です。
女性は生まれる前にすべての卵子ができています。20歳で排卵する卵子は20年前に作られた卵子で、40歳で排卵する卵子は40年前に作られた卵子です。性成熟期になり排卵が始まると、毎月約1,000個の卵子が最終成熟を開始し競争し、敗れた卵子はなくなっていきます。そして3カ月後に1個の卵子が排卵します。このように毎月多くの卵子が減っていきます。AMHは原始卵胞からすこし先の前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、このホルモンと残っている卵子数はほぼ比例するため、残っている卵子の数を表す指標とされています。
当初は卵巣年齢を調べるための検査という言い方をされていました。確かに一人の人をとってみると年齢とともにAMH値は低下していきますが、人によりAMH値が非常に異なるため、年齢別の平均値や中央値と自分のAMHと比較して多少高くても低くてもあまり意味はありません。ただAMHが非常に低い場合には閉経が早くなる可能性があり、ステップアップを急ぐ必要があります。
またAMH値は卵巣に残っている卵子の数を示すだけで、妊娠のしやすさを示すものではありません。妊娠のしやすさは、AMHではなく年齢や子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群などさまざまな要因が関係します。AMH値が0に近いのに妊娠される方も多くおられます。
AMHは、体外受精(顕微授精を含む)を行う際にどのような卵巣刺激法を選択するかを決めるための非常に重要な指標になります。2022年4月からの保険適用に伴い厚生労働省の通達により、体外受精を行う患者さまにしか検査を行うことができなくなりました。

2.卵管が通っているかを調べるための検査

クラミジア検査

クラミジアの検査は子宮頸管の擦過物をとって調べる抗原検査と血液で調べる抗体検査があります。日本では、クラミジアに感染されたことがある方は男性15万人、女性20万人と実際には多くいらっしゃることが知られています。クラミジアに感染すると卵管炎や腹膜炎を起こし、卵管が狭くなってしまったり、卵管の先が癒着してしまうことにより卵子が卵管に取り込まれなくなってしまうことがあります。抗体の血液検査を行うことで、以前感染していたかどうかも明らかにすることができます。クラミジア抗体が陽性の場合には、卵管機能が落ちていて妊娠しづらくなっている可能性があります。

子宮卵管造影検査

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子宮腔にカテーテルを入れ造影剤を注入し、造影剤が子宮から卵管を通り腹腔内に流れ出す様子をX線で観察します。子宮腔の形、卵管の通り具合、卵管の出口周囲や腹腔内の癒着の有無などを調べることができます。また、治療的な効果もあり、この検査後妊娠することもよくあります。
通常は、治療的効果が高く、解像度の高い油性の造影剤を用いますが、甲状腺機能が低下気味の人には、水性の造影剤を使用します。また、超音波に映る造影剤を用いて、造影剤を子宮に注入し、超音波で観察する卵管造影検査もありますが、X線を用いた検査に比べると精度は落ちます。空気や液体を子宮に注入して卵管の通りを診るための通気、通水検査も行われていますが、卵管造影検査に比べると信頼度はかなり低くなります。
造影剤を注入するときに子宮腔が押し広げられるため、痛みを伴うことがありますが、よくいわれているほど強い痛みを感じないことがほとんどです。

卵管が両方とも閉塞している場合には、卵管鏡または体外受精へステップアップを検討します。卵管鏡は子宮から卵管に入ってすぐのところで閉塞している場合のみ適応になります。
卵管障害に対する手術療法はこちら 体外受精についてはこちら

3.精液や精巣の状態を調べる検査

精液検査

マスターベーションにより精液を採取し、顕微鏡で観察し、精液量、精子濃度、精子運動率などを調べる検査です。 WHOの基準値(第6版)から、精液量1.4ml、精子濃度1600万/ml、運動率42%などが指標として用いられています。WHOの基準値は、過去12ヶ月以内にパートナーが妊娠した男性のうち下位5%の数値であり、WHOの基準を下回るようであれば、かなりよくない数値であると考えられます。男性不妊外来で精査を行っていただくことをお勧めしています。

診察(視診・触診)

男性不妊外来で行います。精巣の大きさの測定や精索静脈瘤の有無・前立腺の腫大の有無などを確認します。

精巣超音波検査

特殊な超音波装置を用いて、精巣のまわりの血管の状態を観察します。不妊原因となる精索静脈瘤の診断に用いられます。検査時に痛みはありません。男性不妊外来で施行しています。精索静脈瘤では精巣内に酸化物質がたまることにより精子が傷害を受けるといわれています。手術を受けることにより、改善する可能性があります。

精子DNA断片化指数検査(DFI検査)

精液検査で異常がなくても、精子のDNAが酸化ストレスなどで傷害を受けていると、妊娠率が低下します。DFI検査では精液中の損傷した(断片化した)DNAをもつ精子の割合を調べます。精子のDNAは、受精後3日目以降の胚の発育に影響を及ぼすため、もし精子のDNAが断片化していると、胚盤胞までたどりつけなかったり、流産をする可能性が高まります。治療法には抗酸化サプリメントや生活習慣の改善などがあります。男性不妊外来で行なっています。

染色体検査・遺伝子検査

無精子症や重度の乏精子症の場合に血液検査を行い、染色体や遺伝子に原因がないかを調べることがあります。顕微授精についてはこちら

4.不妊原因を調べるためのその他の検査

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ここまでの検査の結果、排卵があり、卵巣機能が正常で、卵管が通っていて、精液所見に問題がなく、子宮の形に異常はないけれども、それでも妊娠できない方は原因不明不妊に分類されます。原因不明不妊の方の場合には原因がないのではなく、特定ができないだけで、どこかに「妊娠しにくい」原因があると考えられます。たとえば、排卵した卵子がうまく卵管の中に取り込まれているのか、卵管を伝って子宮に運ばれているのかなどは調べることができません。これらの機能が落ちていて妊娠しない場合には、現在は原因不明不妊に分類されることになります。

性交後試験(ヒューナーテスト)

性交をした数時間後~翌日に子宮の出口から頚管粘液を採取し、頚管粘液中にある精子の状態を調べます。頚管粘液の状態がよければ、性交の数日後まで頚管粘液中に精子が泳いでいるのを観察できます。検査の痛みはありません。

男性が精液検査を行うことを嫌がる場合や、きちんと射精できているのかがわからない場合には、まずこの検査を行い結果を見てみることも一つです。この結果が不良で男性の精液検査で問題がないと、頚管粘液の質が悪い、または抗精子抗体があるなどが考えられます。どちらもステップアップを考える要因になります。

ヒューナーテストは適切な時期以外に行うと結果が不良となります。結果がよくなかった原因が、適切な時期に行われなかったためかどうかが外部から判断がつきにくいことで、最近ではあまり行われない傾向があります。しかし熟練した医師が適切な時期に行うことで、ステップアップの時期を見計らうよい方法となります。当院ではタイミング法の場合には複数周期にわたってヒューナーテストを行い、タイミング法を続けてもよいのかを判断しています。

子宮鏡検査

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受精卵が着床する場である子宮内腔には、子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫をはじめとしたさまざまな病変がみられることがあります。子宮鏡検査を行うことで、子宮内腔の状態を直接確認でき、病変に対して治療が必要なのかどうかを判断することができます。

また近年、反復着床障害や不育症の原因として、慢性子宮内膜炎(子宮内膜に起こる慢性の炎症で着床しにくくなる)が関与するといわれるようになり、子宮鏡検査や、子宮内の細菌叢を調べる特殊な検査を行うことで慢性子宮内膜炎を診断できるようになりました。子宮鏡において「マイクロポリープ」、「発赤」、「浮腫状肥厚」がみられる場合には慢性子宮内膜炎が疑われ、抗生剤による治療が必要になることもあります。

当院では子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫が疑われる場合、反復着床不成功や流産を繰り返す患者様には子宮鏡検査を行っています。

5.排卵時期を調べるための検査

妊娠するためには排卵の時期に性交や人工授精、体外受精をする必要があります。このため不妊治療においては排卵時期を知ることが非常に重要になります。排卵時期を調べるための検査を説明します。

超音波による卵胞径、子宮内膜厚の計測

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卵胞の直径は月経が終わった頃から毎日約1.5mmずつ大きくなり、直径20mm前後で排卵します。また子宮内膜も排卵頃には厚くなり、断面は木の葉の様に見えます。
排卵するときの卵胞径や子宮内膜の厚さはそれぞれの人でだいたい決まっています。超音波で卵胞径と子宮内膜の厚さを測ることにより排卵日のおおよその予測がつきます。この検査と次に述べる尿中LH検査を組合せることにより、ほとんどの人の排卵日をほぼ正確に予測できます。

尿中LH検査

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排卵は脳下垂体からLHのいうホルモンが一度に大量に放出されること(LHサージ)が引き金になって起こります。このため排卵の前日に尿中LHが急に上がります。排卵検査薬はこの尿中のLHの急上昇を調べる試薬です。排卵が近くなってきた頃から尿をとってLHを調べ、陽性になった14-26時間後(半日から1日後)あたりが排卵日になります。尿中LHを調べる試薬は薬局でも市販されています。
ただ、尿中LHから間接的に排卵時期を予測するため、この検査のみで排卵日を予測するのは難しい場合があります。月経不順の方などは毎日この検査を行っても、1カ月間ずっと陰性や逆にずっと薄く陽性という場合もあります。また、人によっては排卵しているのに排卵検査薬が陽性にならない人もあり、排卵時期でもないのに排卵検査薬が陽性になることもあります。とくに月経不順の方ほど排卵検査薬を使ってみたいと思われるかと思いますが、月経不順の方ほど排卵検査薬の結果は当てにならない場合が多く、超音波検査と合わせて行って初めて意味のある結果が得られるものになります。

頸管粘液検査

排卵が近づくと、子宮の出口から透明で粘りのある粘液が多量に出てきます。この粘液の性状を観察することによりおおよその排卵日の推定が可能です。しかし、先に述べた超音波による卵胞径の計測や尿中LH検査に比べるとその精度はずっと落ちます。
ただ、月経不順がある人で受診できない場合には、自分で排卵が近いかどうかを判断するためには非常に有効な指標になります。透明なおりものが増えてきたら、その頃が妊娠のチャンスと考え性交をトライしてください。

6.体外受精などの生殖補助医療に関連した検査(先進医療を含む)

胞状卵胞数(AFC)

超音波で卵巣にどれくらいの数の胞状卵胞が見えるかを調べる検査です。いくつみえるかは周期ごとに異なります。体外受精/顕微授精を行う際、どのような卵巣刺激法を選択するかを決めるための指標になります。

感染症検査

ご夫婦のどちらかがB型肝炎、C型肝炎、梅毒、AIDSなどに感染していて妊娠すると、生まれてくる子どもが感染することがあります。また、スタッフも血液や精液から感染するリスクもあります。このため人工授精や体外受精/顕微授精を行う場合には感染症の検査を行います。

子宮内膜着床能検査(ERA)

現在、体外受精や顕微授精では受精させ、胚盤胞まで育てた胚を一旦凍結保存し、別の周期に凍結胚を融解して、移植することが一般的です。 現在日本では、体外受精や顕微授精により生まれてくる子の80%以上は凍結胚移植による妊娠です。この凍結胚移植は、ホルモン補充周期に行われることが多いのですが、通常は黄体ホルモン投与を開始した日の5日後に胚移植が行われます。しかし、最近、子宮内膜の遺伝子発現を調べることにより、人によっては黄体ホルモン開始の5日後が移植最適日ではないことがわかってきました。
このERA検査は黄体ホルモン5日後の子宮内膜を採取し検査することにより、その人の最適移植日を調べるというものです。
移植日を変更することにより、妊娠率の向上が期待できます。何個も良好胚を移植しても妊娠しない際に行います。検査の痛みは軽度です。着床の検査であるEMMA・ALICEと同時に検査することができます。先進医療に含まれる検査で、当院で行うことができます。

子宮内膜細菌叢・感染性慢性子宮内膜炎の検査(EMMA・ALICE)

以前は子宮内は無菌状態であると考えられていましたが、実際には子宮の中にも細菌がいることがわかり、またその細菌が着床に関係することがわかってきました。子宮内膜の一部をとってきて、次世代シーケンサーという特別な装置を用いて解析を行います。検査の痛みは軽度です。
子宮内膜のlactobacillusという細菌の割合が少ないと着床しにくくなります。この検査はEMMAと呼ばれ、異常がでた場合には乳酸菌の腟錠を用いて治療を行います。また、子宮内膜に慢性的な細菌感染があると、着床しにくくなります。この検査はALICEと呼ばれ、異常が出た場合には適切な抗生物質による治療を行います。先進医療に含まれる検査で、どちらも当院で行うことができます。

着床前遺伝学的検査(PGT-A、PGT-SR)

体外受精や顕微授精を行なっても妊娠しない原因、流産になる原因の多くは、受精卵のもつ染色体に変化が起きてしまうことによります。受精卵(胚盤胞)の細胞を5個ほど取り出し、染色体の変化を調べる検査が着床前遺伝学的検査です。PGT-Aでは染色体の数の変化を検査し、PGT-SRでは染色体の構造の変化を検査します。 染色体が問題ない胚を移植することにより、移植あたりの妊娠率が向上し、流産率は低下します。ただ、検査を行う際に胚の細胞を一部取ってくる必要があり、それが着床へ影響する可能性が報告されています。
2019年12月から日本産科婦人科学会が「継続妊娠率向上を目的としたPGT-Aの有用性を検討する多施設共同研究」を行うことになり、様々な厳格な条件をクリアした当院を含めた39施設が最初に選ばれて共同研究が始まりました。その後研究は2022年8月に終了し、今後解析される予定をしています。

先進医療に含まれる検査で、当院で行うことができます。当院ではすでに100名を超える患者さまがPGT-Aをお受けになっています。しかしPGT-Aは皆さまが受けていただける検査ではなく、日本産科婦人科学会が検査を受けられる対象の方を定めています。対象の方についてはいまだ流動的な部分が多いため、現在の最新の状況については主治医にお尋ね下さい。 PGT-Aを行う際にはすべて自費診療になります。

7.ケースによって必要となる検査(提携先の医療機関をご紹介します)

腹腔鏡検査

全身麻酔をかけて臍のあたりから内視鏡を腹腔内に差し込み、子宮や卵巣、卵管などを観察する検査です。腹腔鏡をしながら、青い色素を子宮内に注入し、卵管が通っているかどうかがわかります。卵管周囲や腹腔内の癒着や子宮内膜症があるかどうかなどもわかります。体外受精の普及により、検査目的の腹腔鏡はあまり行われなくなりました。しかし、子宮筋腫や子宮内膜症などの場合には腹腔鏡で手術が必要になることもあります。当院では、婦人科内視鏡技術認定医に手術について相談することもできます。

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