体外受精・顕微授精

梅ヶ丘産婦人科における体外受精・顕微授精

体外受精・顕微授精・胚凍結保存とは?

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体外受精は1978年に、この写真のケンブリッジ大学のエドワーズ博士とステプトー博士により始められた画期的な不妊治療法です。
注射針(採卵針)を用いて卵巣から卵子を採取し(採卵)、卵子を入れた試験管に夫の精子を入れて受精させ、その受精卵(胚)を、カテーテルを用いて子宮腔に戻す (胚移植) ことにより妊娠を期待する方法です。

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当初は両側の卵管が閉塞している場合に用いられていましたが、その高い妊娠率により、現在では、腹腔内癒着、子宮内膜症、抗精子抗体陽性、原因不明不妊など様々な難治性不妊に適応が広げられています。
一方、男性の精子の数が少なかったり、運動率が低かったりすると、体外受精でも受精しません。このようなケースでは、卵子に直接精子を注入して受精させる顕微授精を行います。
また、体外受精や顕微授精で胚移植した後に胚が余った場合、その胚を一旦凍結保存し、胚移植により妊娠しなかった場合や、妊娠が成立し分娩した後に、凍結胚を融解して移植する凍結胚移植が可能です。胚の凍結保存は完成された技術で、体外受精や顕微授精に欠かせないものとなっています。
最近のデータでは、日本の出生児の16人に1人は体外受精・顕微授精や凍結胚移植による妊娠です。
当院の辰巳院長は1986年に京都大学産婦人科よりオーストラリア、アデレード大学に派遣され、体外受精-胚移植法の技術を修得しました。帰国後、京都大学体外受精チームの中心メンバーとして活躍、以来30年以上にわたり、体外受精の臨床の第一線で活躍しています。
また当院は、JISART(日本生殖医療標準化機構)の厳重な審査にパスし、施設認定を受けています。

体外受精/顕微授精は次のような流れで行われます。

1. まず、排卵誘発剤による卵巣刺激を行います。

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体外受精では、妊娠の確率を上げるために、原則として、排卵誘発剤の注射や内服を行い複数の卵子を育てます。日本では低刺激法をメインとしている施設も多くありますが、採卵あたりの妊娠率はどうしても低くなります。体外受精や顕微授精のすべての過程の中で最も負担のかかるのは採卵だと思います。当院ではできれば1回の採卵で10個位の卵子を採卵し、何個かの胚を凍結保存し、1回の採卵でできるだけ多くの胚移植を行いたいと思っています。それが採卵あたりの妊娠率を上げ、最も体に負担がかからずに妊娠できる方法だと思っているからです。
当院では、アンタゴニスト法、ショート法、低刺激のクロミッド法などから、それぞれの人にとって最も適切な卵巣刺激法を行っています。

2. 次は採卵です。

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良い卵胞が育ったら、その中にある卵子を回収します。これが採卵です。
黒く丸く映っているものが採卵直前の卵胞です。
採卵は、軽い静脈麻酔を行い、超音波で見ながら腟から採卵針(長い注射針)で卵胞を穿刺し、その中にある卵子を卵胞液と一緒に吸引します。採卵に要する時間は5〜20分位です。

3. 次は媒精、顕微授精、胚培養、胚凍結保存です。

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ここは当院の培養室です。 右に並んでいる箱が培養器で、卵子や精子、受精卵を培養しています。
卵子がとれたら、ご主人に精子をとっていただきます。
精子を調製し、卵子にふりかける操作を媒精といいます。
また、精子の状態が悪いと精子をふりかけるだけでは受精しません。この場合には1個の精子を顕微鏡下で細いピペットを用いて卵子の中に注入します。これが顕微授精です。現在では当院を含め世界中の大半の施設では体外受精より顕微授精の方が多くなっています。
培養室内での操作は必ず2人で行い、一人が操作を行い、もう一人が間違いがないかをチェックします。
このようなダブルチェックシステムを行うことにより、受精卵の取り違えなどが起こらないよう徹底しています。

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当院では最新のTime Lapse 顕微鏡―培養器(Embryoscope+)を導入し、より高度な胚培養システムを構築しています。

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受精卵は図の様に卵割していきます。 当院では原則として、新鮮胚移植は初期胚(4細胞または8細胞期)で行い、胚凍結は胚盤胞の段階で行っています。
また新鮮胚移植を行わず一旦すべての胚を凍結保存する全胚凍結保存もよく行っています。この場合には、まず1個の胚を初期胚で凍結保存し、残った胚で胚盤胞になったものを凍結保存しています。
胚凍結保存は確立された手技で、現在日本では体外受精で生まれてくる子の80%以上は一旦凍結保存した胚を融解して移植することによって妊娠しています。

4. 最後のステップは胚移植です。

初期胚、または胚盤胞を子宮腔に注入する操作が胚移植です。 胚を移植用の培養液と共に細いカテーテルに吸って、超音波を見ながら子宮腔の最も良い位置にそっと置きます。 痛みを伴わない操作で通常は数分以内に終わります。 胚移植後、着床しやすくするため黄体ホルモンやHCGの注射を行います。

5. 妊娠判定

胚移植の10〜14日後に妊娠判定を行います。

当院の体外受精・顕微授精の治療成績

体外受精の成績の出し方には色々な方法があり、各施設で統一されていません。 当院では、1回の採卵あたり、出産までできるのがどれくらいの割合なのかが最も重要と考えています。 そこで、1回目の採卵時の年齢別に、1回目の採卵、2回目の採卵・・・と採卵あたり新鮮胚移植、凍結胚移植を含め出産までできた人の割合を示しました。

最後に

以前は体外受精や顕微授精は特殊な妊娠方法でした。
しかし、その有効性や安全性により、最近では一般的な治療法となっています。 当院でも、体外受精で妊娠された方が5000人以上になっています。
当院ではできるだけ自然に近い妊娠を目指していますが、どうしてもそれでは妊娠に至らない方もおられ、その場合には体外受精が非常に有効な治療法になります。
当院の28年間の経験の積み重ねと最新の技術の導入により、それぞれの皆様にとって最も良い体外受精・顕微授精を受ける事ができるよう、スタッフ一同できる限りのサポートをさせて頂きます。

当院の年別症例数

当院ではこの25年間に来院された不妊患者さん26513組のうち15566組、59%がすでに妊娠されています。不妊外来の妊娠率は25年程前の報告では25%程度、15年前の報告では35%程度であることをみれば、最近いかに不妊治療が進歩し、妊娠できる確率が上がったかがお解りいただけると思います。

初診数:初めて当院を受診した人の数 / 妊娠数:妊娠した人の数 / 採卵数:体外受精や顕微授精のための採卵の数

初診数 妊娠数 採卵数
平成3年 30 4 2
平成4年 106 33 33
平成5年 227 83 57
平成6年 314 149 82
平成7年 328 163 111
平成8年 379 201 157
平成9年 615 288 194
平成10年 910 463 287
平成11年 1073 563 387
平成12年 1192 631 463
平成13年 1047 655 538
平成14年 1020 665 603
平成15年 1010 642 636
平成16年 974 635 618
平成17年 1108 658 596
平成18年 1285 732 614
平成19年 966 736 656
平成20年 1238 772 661
平成21年 1237 764 658
平成22年 1398 805 751
平成23年 1416 847 716
平成24年 1608 897 803
平成25年 1892 948 837
平成26年 1719 1123 899
平成27年 1635 996 856
平成28年 1912 1113 873
合計 26515 15566 13087

当院の妊娠例の予後

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さて、不妊外来でせっかく妊娠しても流産してしまう方もいます。当院不妊外来で妊娠された方のその後の妊娠経過について調べてみました。

一般に妊娠例の15%は流産してしまいます。当院不妊外来では、妊娠例の26%が流産になっており、通常の妊娠例に比べると流産率が高いといえるかもしれません。しかしこれは、不妊治療をしたから流産率が上がったというのではなく、不妊治療で妊娠した方の年齢が、一般の妊娠年齢より高いことが流産率の高い最も大きな原因だと考えられます。

当院の初診時の妻の年齢と妊娠率の関係

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さて、色々なところで強調していますが、不妊外来で妊娠できるかどうかを左右する最も大きな要因は妻の年齢です。次に当院初診時の妻の年齢と妊娠率、出産率の関係を見てみました。妊娠率は、その年齢で初診された方のうち妊娠された方の割合、出産率は初診された方のうち出産された方の割合を示します。妊娠率と出産率の差が流産率になります。

妻の年齢が35歳を過ぎると妊娠しにくくなりはじめ、40歳を越えると随分難しくなってきます。また、一方では、年齢と共に流産する確率も高くなります。40歳以上の場合には、妊娠しても半数以上の方が流産してしまいます。 妻の年齢が40歳を越えてから不妊外来を受診した場合、妊娠できる率は25%、出産できる率は11%になってしまいます。もし、皆さんの人生計画で子供をつくろうという計画があるのなら、あまり長い間避妊したりせずに、できるだけ若いうちに妊娠するようにしてください。

ステップアップの実際

pic_module_drawing_img03タイミング指導の月毎の妊娠数▲

さて、当院では、一通りの検査で特にはっきりした不妊原因を認めない場合には、まずタイミング指導を行います。タイミング指導をはじめてから、どれくらいで妊娠できるかについて調べてみました。

タイミング指導で妊娠できる方のほとんどは、12ヶ月以内に妊娠しておられます。6ヶ月あたりから妊娠数が減ってくるため、当院ではタイミング指導をはじめて3~6ヶ月たっても妊娠しない場合には、タイミング指導では解決できない不妊原因があると考え、ステップアップをお勧めします。ただ、タイミング指導2年目で妊娠された方もおられます。タイミング指導を続けたいという希望があれば、それでも結構です。
当院では次のステップとして人工授精に進みます。何回目の人工授精で妊娠できたかが次のグラフです。


pic_module_drawing_img03何回目の人工授精で妊娠?▲

人工授精も、回数を重ねるにつれて妊娠数が低下します。このようなグラフを見て、人工授精を5回以上しても意味がないという意見もあります。しかし、このグラフは、妊娠数を見ているだけで、、人工授精の妊娠率を示しているのではありません。それでは、施行回数が増えると人工授精の妊娠率はどうなるのでしょうか?


pic_module_drawing_img03人工授精の回数と妊娠率▲

このグラフでわかるように、人工授精の妊娠率は、1回目から14回目まであまり下がりません。もし、どうしても体外受精に進むのに抵抗のある方は、卵管が通っていて、精子の状態が非常に悪くない限り、14回位まで人工授精を繰り返しても良いと思います。ただ、年齢の高い方で、体外受精も視野に入れながら治療を受けている方は、あまり人工授精で時間を費やさず、体外受精に移った方が良いでしょう。人工授精と体外受精の妊娠率はかなり差がありますが、年齢が高くなると、体外受精の妊娠率も低くなってしまいます。
人工授精のステップでも妊娠しない場合には、更に進んだ治療、体外受精や顕微授精、凍結胚移植などの生殖補助医療(ART)が必要となります。


pic_module_drawing_img03当院不妊外来妊娠方法の内訳▲

当院不妊外来で平成27年に妊娠された方の妊娠方法の内訳をお示しします。
タイミング指導による妊娠が38%、人工授精による妊娠が27%、体外受精、顕微授精の新鮮胚移植による妊娠が5%、凍結胚移植による妊娠が30%を占めています。
当院では不妊治療目的で初診された方の59%が妊娠されますが、そのうち65%の方は人工授精までの治療で妊娠できています。
これは「できるだけ自然に近い妊娠を目指す」という当院の治療方針の妥当性を示していると考えています。

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