当院の治療成績

不妊外来の治療成績

当院で不妊外来が開設された平成3年6月以後のデータをお示しします。

当院の年別症例数

初診数 妊娠数 採卵数
平成3年 30 4 2
平成4年 106 33 33
平成5年 227 83 57
平成6年 314 149 82
平成7年 328 163 111
平成8年 379 201 157
平成9年 615 288 194
平成10年 910 463 287
平成11年 1073 563 387
平成12年 1192 631 463
平成13年 1047 655 538
平成14年 1020 665 603
平成15年 1010 642 636
平成16年 974 635 618
平成17年 1108 658 596
平成18年 1285 732 614
平成19年 966 736 656
平成20年 1238 772 661
平成21年 1237 764 658
平成22年 1398 805 751
平成23年 1416 847 716
平成24年 1608 897 803
平成25年 1892 948 837
平成26年 1719 1123 899
平成27年 1635 996 856
平成28年 1912 1113 873
合計 26515 15566 13087
初診数
初めて当院を受診した人の数
妊娠数
妊娠した人の数
採卵数
体外受精や顕微授精のための採卵の数

当院ではこの25年間に来院された不妊患者さん26513組のうち15566組、59%がすでに妊娠されています。不妊外来の妊娠率は25年程前の報告では25%程度、15年前の報告では35%程度であることをみれば、最近いかに不妊治療が進歩し、妊娠できる確率が上がったかがお解りいただけると思います。

当院の妊娠例の予後

さて、不妊外来でせっかく妊娠しても流産してしまう方もいます。当院不妊外来で妊娠された方のその後の妊娠経過について調べてみました。

タイミング指導の月毎の妊娠数の図

一般に妊娠例の15%は流産してしまいます。当院不妊外来では、妊娠例の26%が流産になっており、通常の妊娠例に比べると流産率が高いといえるかもしれません。しかしこれは、不妊治療をしたから流産率が上がったというのではなく、不妊治療で妊娠した方の年齢が、一般の妊娠年齢より高いことが流産率の高い最も大きな原因だと考えられます。

当院の初診時の妻の年齢と妊娠率の関係

さて、色々なところで強調していますが、不妊外来で妊娠できるかどうかを左右する最も大きな要因は妻の年齢です。次に当院初診時の妻の年齢と妊娠率、出産率の関係を見てみました。妊娠率は、その年齢で初診された方のうち妊娠された方の割合、出産率は初診された方のうち出産された方の割合を示します。妊娠率と出産率の差が流産率になります。

当院の初診時の妻の年齢と妊娠率の関係の図

妻の年齢が35歳を過ぎると妊娠しにくくなりはじめ、40歳を越えると随分難しくなってきます。また、一方では、年齢と共に流産する確率も高くなります。40歳以上の場合には、妊娠しても半数以上の方が流産してしまいます。
妻の年齢が40歳を越えてから不妊外来を受診した場合、妊娠できる率は25%、出産できる率は11%になってしまいます。もし、皆さんの人生計画で子供をつくろうという計画があるのなら、あまり長い間避妊したりせずに、できるだけ若いうちに妊娠するようにしてください。

ステップアップの実際

さて、当院では、一通りの検査で特にはっきりした不妊原因を認めない場合には、まずタイミング指導を行います。タイミング指導をはじめてから、どれくらいで妊娠できるかについて調べてみました。

タイミング指導の月毎の妊娠数

タイミング指導の月毎の妊娠数

タイミング指導で妊娠できる方のほとんどは、12ヶ月以内に妊娠しておられます。6ヶ月あたりから妊娠数が減ってくるため、当院ではタイミング指導をはじめて3~6ヶ月たっても妊娠しない場合には、タイミング指導では解決できない不妊原因があると考え、ステップアップをお勧めします。ただ、タイミング指導2年目で妊娠された方もおられます。タイミング指導を続けたいという希望があれば、それでも結構です。
当院では次のステップとして人工授精に進みます。何回目の人工授精で妊娠できたかが次のグラフです。

何回目の人工授精で妊娠?

何回目の人工授精で妊娠?

人工授精も、回数を重ねるにつれて妊娠数が低下します。このようなグラフを見て、人工授精を5回以上しても意味がないという意見もあります。しかし、このグラフは、妊娠数を見ているだけで、、人工授精の妊娠率を示しているのではありません。それでは、施行回数が増えると人工授精の妊娠率はどうなるのでしょうか?

人工授精の回数と妊娠率

タイミング指導の月毎の妊娠数

このグラフでわかるように、人工授精の妊娠率は、1回目から14回目まであまり下がりません。もし、どうしても体外受精に進むのに抵抗のある方は、卵管が通っていて、精子の状態が非常に悪くない限り、14回位まで人工授精を繰り返しても良いと思います。ただ、年齢の高い方で、体外受精も視野に入れながら治療を受けている方は、あまり人工授精で時間を費やさず、体外受精に移った方が良いでしょう。人工授精と体外受精の妊娠率はかなり差がありますが、年齢が高くなると、体外受精の妊娠率も低くなってしまいます。
人工授精のステップでも妊娠しない場合には、更に進んだ治療、体外受精や顕微授精、凍結胚移植などの生殖補助医療(ART)が必要となります。
当院のARTの成績につきましては、当院の治療>体外受精/顕微授精の項を参照してください。

当院不妊外来妊娠方法の内訳

当院不妊外来受診患者さんの予後

当院不妊外来で平成27年に妊娠された方の妊娠方法の内訳をお示しします。
タイミング指導による妊娠が38%、人工授精による妊娠が27%、体外受精、顕微授精の新鮮胚移植による妊娠が5%、凍結胚移植による妊娠が30%を占めています。
当院では不妊治療目的で初診された方の59%が妊娠されますが、そのうち65%の方は人工授精までの治療で妊娠できています。
これは「できるだけ自然に近い妊娠を目指す」という当院の治療方針の妥当性を示していると考えています。