当院の不妊治療では、「できるだけ自然に近い妊娠」を目指しています。妊娠された方のうち40%の方はタイミング指導などの一般不妊治療によるものです。そのほか、25%の方が人工授精、35%の方が体外受精などの生殖補助医療により妊娠されています。
現在の不妊治療は体外受精を中心に行われていますが、私は不妊で悩んでおられる方の多くは人工授精までの治療で妊娠できると考えています。ただ、一般不妊治療に時間をかけすぎて、体外受精に移ったときには体外受精でも妊娠できなくなるという状況は避けなければなりません。この治療法の使い分けが、できるだけ自然に近い妊娠に結びつくための鍵だと思っています。当院では長年のデータを解析しそれぞれの方が必要最小限の治療で妊娠していただけるような治療方針を立てています。
しかし、やはり体外受精などの生殖補助医療がどうしても必要な方も多くおられます。当院では1991年から体外受精を開始し、常に生殖補助医療の最先端の技術を取り入れてきています。基本的には、卵子が多く採れそうな方には排卵誘発剤を用いた調節卵巣刺激を行い、1回の採卵でいくつかの胚を凍結保存までしたいと思っています。そのほうが自然周期より採卵あたりの妊娠率は高く、体への負担も結局は少ないと考えているからです。