1.排卵や卵巣状態を調べる検査

基礎体温

SnapCrab_NoName_2022-10-5_19-14-56_No-00

毎朝、起きた直後に婦人体温計を舌の下にはさんで舌下体温を計り、基礎体温表に記入します。低温相と高温相の2相に分かれていれば排卵があったと判断します。排卵すると卵巣から出るプロゲステロンというホルモンが、視床下部の体温中枢に作用して基礎体温を0.4-0.6度上昇させます。
ただ基礎体温が2相性に見えていても実際には排卵していないこともありますし、1相性に見えても排卵していることもあります。基礎体温は診断の補助にはなりますが、確実に排卵したといえるためには超音波検査が必要になります。
基礎体温の下降日が排卵日といわれてきましたが、そうとはいえないことが最近わかってきています。排卵前から基礎体温が上昇する人もいれば、排卵の数日後に基礎体温が上昇する人もいます。基礎体温の高さ、上がり方、高温相のときに下降する日があるなどは、妊娠とは関係はありません。基礎体温だけでは、いつ排卵するかは特定できませんので、基礎体温表に過敏にならないことが重要です。
ただ不妊治療中にときどき排卵したかどうかの判断の参考になることがあります。以前ほど重要な検査ではなくなりましたが、たとえば基礎体温が1相性であれば排卵が起きていない可能性も考えられますので、とくに月経不順の方は可能であれば基礎体温をつけることをおすすめします。ただし、定期的に受診されているかたで、基礎体温をつけることがストレスになるようであればつけなくても構いません。

ホルモンの血液検査

月経が数カ月に1回しか来ない人や、月経と月経の間隔が不規則な人は排卵が起こりにくいと考えられます。何が原因で排卵が起こりにくいかを調べるのがホルモン検査です。採血をして、脳下垂体ホルモンのFSH、LH、プロラクチン、卵巣ホルモンのエストラジオール、プロゲステロンなどを測ります。

脳の視床下部と下垂体・卵巣は、それぞれが分泌するホルモンでお互いのホルモン分泌を調節しあっています。FSHは卵胞を育てるホルモン、LHは排卵を起こすホルモン、プロラクチンは乳汁産生と月経不順を起こすホルモン、エストラジオールは卵胞が育ってくると上がるホルモン、プロゲステロンは排卵後に上がってくるホルモンです。たとえば、月経周期不順を起こす多嚢胞性卵巣症候群の方では、LHがFSHより高くなることが知られています。

また甲状腺ホルモンの血液検査も行います。甲状腺ホルモンは全身の代謝を司るホルモンですが、流産・早産と明確に関係があります。また甲状腺ホルモンが正常範囲内の数値であっても、潜在性甲状腺機能低下症といって妊娠を希望する方はもっと厳格にコントロールをしたほうがよいことが知られています。当院では基本的には初診時に甲状腺ホルモンの採血を行わせていただきます。

男性においても、ホルモンは精子の形成に重要な役割をしています。LH・FSHの値が低い場合には低ゴナドトロピン性性腺機能低下症といって男性ホルモンが低下したり、精子の数や運動率が低下します。当院では男性不妊外来を受診された際に採血させていただいています。

超音波検査による卵胞の観察

SnapCrab_NoName_2022-10-5_17-35-20_No-00

卵子は卵胞液で満たされた卵胞という袋に入っています。卵胞は月経が終わる頃から毎日直径が約1.5mmずつ大きくなり、直径が20mm程度になると脳下垂体からLHが大量に分泌され、それが卵胞に伝わると卵胞が破れて中から卵胞液と共に卵子が腹腔内に流れ出します。これが排卵です。

超音波で卵胞を観察していくと、排卵に近づくにつれて卵胞がだんだん大きくなり、排卵とともに卵胞が消えてしまうのがわかります。このように排卵前後に何回かの超音波検査をすることにより排卵の時期を知ることができ、また排卵を確認できます。確実な排卵日を知るためには尿中LH検査と組み合わせます。また、超音波では卵胞は観察できますが、卵子は直径が0.1mm程度なので、卵子そのものは観察できません。

また、頻度は多くはありませんが、黄体化未破裂卵胞(LUF)といって、排卵はしなくても黄体がつくられることにより基礎体温が上がる場合があります。基礎体温だけでみていると二相性になっていても、実際にはずっと排卵していないことがあります。その場合には排卵していないので妊娠はできません。このような場合でも超音波で観察することにより明らかにし、また薬物治療により排卵させることができるようになります。きちんと超音波で排卵を確認することが重要です。当院では基本的に毎回超音波を行っています。
排卵障害に対する薬物療法はこちら

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

卵巣の中にどれくらいの数の卵子が残っているかを調べるための検査です。
女性は生まれる前にすべての卵子ができています。20歳で排卵する卵子は20年前に作られた卵子で、40歳で排卵する卵子は40年前に作られた卵子です。性成熟期になり排卵が始まると、毎月約1,000個の卵子が最終成熟を開始し競争し、敗れた卵子はなくなっていきます。そして3カ月後に1個の卵子が排卵します。このように毎月多くの卵子が減っていきます。AMHは原始卵胞からすこし先の前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、このホルモンと残っている卵子数はほぼ比例するため、残っている卵子の数を表す指標とされています。
当初は卵巣年齢を調べるための検査という言い方をされていました。確かに一人の人をとってみると年齢とともにAMH値は低下していきますが、人によりAMH値が非常に異なるため、年齢別の平均値や中央値と自分のAMHと比較して多少高くても低くてもあまり意味はありません。ただAMHが非常に低い場合には閉経が早くなる可能性があり、ステップアップを急ぐ必要があります。
またAMH値は卵巣に残っている卵子の数を示すだけで、妊娠のしやすさを示すものではありません。妊娠のしやすさは、AMHではなく年齢や子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群などさまざまな要因が関係します。AMH値が0に近いのに妊娠される方も多くおられます。
AMHは、体外受精(顕微授精を含む)を行う際にどのような卵巣刺激法を選択するかを決めるための非常に重要な指標になります。

よくある質問

Q 基礎体温は必ずつけたほうがよいですか?
A
必ずしも全ての方に必要な検査ではありません。
基礎体温は排卵の有無を推測する補助的な指標ですが、基礎体温だけで排卵日を正確に特定することはできません。
月経不順の方などでは参考になることがありますが、基礎体温をつけることが負担やストレスになる場合は、無理につける必要はありません。
Q 超音波検査では何がわかりますか?
A
超音波検査では、卵胞の大きさや発育の様子を観察し、排卵が近いかどうか、実際に排卵が起こったかを確認することができます。
基礎体温や尿中LH検査と組み合わせることで、排卵時期をより正確に把握することが可能です。
Q ホルモン検査では何を調べるのですか?
A
採血により、排卵や卵巣機能に関わるホルモン(FSH、LH、エストラジオール、プロゲステロンなど)を調べます。
月経不順や排卵障害が疑われる場合には、原因を特定し、治療方針を決めるための重要な検査となります。
Q AMHが低いと妊娠は難しいのでしょうか?
A
AMHは卵巣に残っている卵子の数の目安を示す検査であり、妊娠のしやすさを直接示すものではありません。
AMHが低くても妊娠される方は多くいらっしゃいます。AMHの値だけで判断せず、年齢や他の検査結果を含めて総合的に考えることが大切です。

不妊検査一覧

当院の不妊検査について

不妊治療では、「なぜ妊娠しにくいのか」を正しく知ることが、適切な治療への第一歩となります。 梅ヶ丘産婦人科では、排卵や卵巣・卵管の状態、精子の状態、子宮環境などを多角的に評価し、お一人おひとりの状況に応じた検査を段階的に行っています。必要以上の検査を一律に行うのではなく、医学的根拠に基づき、治療方針の判断に本当に必要な検査を選択することを大切にしています。
また、梅ヶ丘産婦人科では、不妊領域で行われる検査のほとんどすべてを当院のみで完結することができます。ほとんどが3分以内に終わる検査であり、当日に検査結果をお伝えできるものもあります。

不妊検査トップに戻る
  • 1.排卵や卵巣状態を調べる検査

    排卵が起きているか、卵巣の働きに問題がないかを確認する検査です。基礎体温、ホルモン検査、超音波検査、AMH検査などを行います。

    詳しくはこちら
  • 2.卵管が通っているかを調べるための検査

    卵管が正常に通っているか、妊娠の妨げになる異常がないかを調べます。主にクラミジア検査や子宮卵管造影検査を行います。

    詳しくはこちら
  • 3.精液や精巣の状態を調べる検査

    精子の数や運動率、精巣の状態などを確認し、男性側の不妊要因を調べます。必要に応じて専門的な検査も行います。

    詳しくはこちら
  • 4.不妊原因を調べるためのその他の検査

    基本的な検査で原因が特定できない場合に行う検査です。子宮内の状態や精子と頸管粘液の関係などを確認します。

    詳しくはこちら
  • 5.排卵時期を調べるための検査

    妊娠のタイミングを合わせるため、排卵の時期を予測・確認する検査です。超音波検査や尿中LH検査などを用います。

    詳しくはこちら
  • 6.体外受精などの生殖補助医療に関連した検査

    体外受精・顕微授精を行う際に必要な検査です。卵巣刺激法の選択や着床環境の評価などを目的に行います。

    詳しくはこちら
  • 7.ケースによって必要となる検査

    状況に応じて、提携医療機関で追加検査を行う場合があります。腹腔鏡検査などにより、より詳しい評価を行います。

    詳しくはこちら

ご予約・お問い合わせ

初診専用電話
受付時間
月~金 9:00~17:00
土 9:00~13:00

当院は完全予約制です。初診の方(診察券をお持ちでない方)はお電話にてご予約をお願いいたします。
不妊検査/不妊治療、プレ妊活/ブライダルチェックで初診される方は、WEBからもご予約いただけます。再診の方はWEB予約または自動電話でご予約ください。(※WEB予約・自動電話は24時間受付可能)