排卵が起こりにくい場合には内服薬や注射により排卵誘発を行います。
よく用いられる内服の排卵誘発剤には、クロミフェン(クロミッド)、セキソビット、レトロゾール(フェマーラ)などがあり、温経湯などの漢方薬が用いられることもあります。注射ではHMGやFSHなどがあり、FSHは自己注射も可能です。
クロミフェンは日本で30年以上前から使われている実績のある排卵誘発剤です。排卵が遅い方には、卵胞を早く育ててくれることにより排卵を早める効果を期待でき、排卵が早すぎる方には、LHサージを抑制してくれることにより排卵を少し遅くする効果が期待できます。排卵個数は少し多くなる傾向があります。また、レトロゾールはクロミフェンで難治性の方、多嚢胞性卵巣症候群の方を中心に行われますが、排卵個数はクロミフェンよりやや少なくなる傾向があります。
これらの薬を適切に用いることにより、排卵障害のあるほとんどの方から排卵を起こすことができますが、重症の排卵障害がある場合には多胎や卵巣過剰刺激症候群などの副作用が起こることもあります。