当院の治療方針

当院の治療内容

当院の治療スタンスは、「夫婦間の治療をする」、「確立された治療をする」、「日本で認められている治療をする」ことです。そのため、不妊治療のなかでも当院で行うものと行わないものとがあります。

当院で行っている治療は、「一般不妊治療」、「人工授精」、「体外受精」、「顕微授精」、「胚凍結保存」、「その他の配偶者間の生殖補助医療」、「男性不妊外来」「不妊カウンセリング」などです。

当院で行っていない治療は、「卵子提供」、「非配偶者間人工授精」、「代理母などの非配偶者間の治療」「海外で非配偶者間の生殖補助医療を受けるための診察、検査など」、「PGS」、「未受精卵子凍結保存」、「事実婚の生殖補助医療」などです。

当院の治療方針

私達は、不妊治療の基本方針は「それぞれの患者さんの必要最小限の治療で妊娠を成立させること」だと考えています。それでは、「それぞれの患者さんの必要最小限の治療」というのはどうすればわかるのでしょうか?

実は、「それぞれの患者さんの必要最小限の治療」をあらかじめ知る方法はないのです。一通りの検査が終わった後でも、両側の卵管閉塞や、重症の男性不妊といった例外を除けば、それぞれの患者さんが、一般不妊治療で妊娠できるのか、体外受精や顕微授精まで必要なのか、あるいは、現代の不妊治療ではどうしても妊娠できないのかを知る方法はないのです。

それでは、どうすればそれぞれの患者さんを必要最小限の治療で妊娠してもらうことができるでしょうか?

その答えは「最も弱い治療から開始し、妊娠するまで徐々に治療をステップアップして強くしていく」ということです。

当院では下図に示す様な治療方針で、不妊治療を行っています。

ただ、もちろん、「体外受精までは考えていない」とか、「人工授精も受けたくない」「時間がないので、少しでも早く体外受精を受けたい」といった患者さんの希望や、これまでの治療歴、年齢などによって、この治療の流れをとらないこともあります。

当院のこの不妊治療の基本方針は「ステップアップ方式」と呼ばれており、患者さんに「必要最小限の治療で妊娠してもらうため」の最も適切な治療方針だと考えています。

梅ヶ丘産婦人科における不妊治療の流れ(ステップアップ方式) STEP1 STEP2 STEP3 STEP4 基本検査 その他の検査 人工授精 体外受精・顕微授精 原因に対する治療およびタイミング指導 タイミング指導 原因判明 原因不明

STEP1

検査

まず当院では、来院された不妊患者さんに一通りの検査をして、原因を調べます。皆さんは検査すればほとんどの場合原因がわかると考えておられるかもしれませんが、実際には原因不明という場合も非常に多いのです。

STEP2

タイミング指導

さて、原因がわかった場合には、原因に対する治療を行います。そして、その治療と並行してタイミング指導(いつが排卵日か調べ、その少し前から排卵日の間に夫婦生活をしてもらう)を行います。原因不明の場合にはタイミング指導のみを行います。妊娠するためには排卵日の少し前~排卵日に夫婦生活をする必要があります。

ところが不妊患者さんは、

  • 排卵障害などにより自分で排卵日を予測できない場合が多い
  • 頚管粘液などの問題で妊娠可能な日が少ない場合が多い
  • 性交回数が減っている場合が多い
  • 実際と違う日を排卵日と思いこんでいる場合が多い

ため、排卵日頃にうまく夫婦生活ができていないことが多いのです。そこで、すべての排卵日に妊娠のチャンスがあるようにタイミング指導をするのです。この段階ですでに多くの方が妊娠されます。

STEP3

人工授精

これで半年妊娠しなければ、通常の夫婦生活では解消できない不妊原因があると考え、次のステップ「人工授精」に移ります。人工授精では、通常の夫婦生活に比べて妊娠する確率が2倍になると言われています。

STEP4

体外受精/顕微授精

人工授精で妊娠しない場合には体外受精や顕微授精に移ります。精子が良い場合には体外受精を、精子の状態が悪い場合には顕微授精を行います。 体外受精/顕微授精については、「当院の体外受精・顕微授精」の項に詳しく書いていますので参考にして下さい。

ステップアップの時期

当院では、基本的な検査で異常を認めない場合には、以下の方針でのステップアップをお勧めしています。

  • 34歳以下の方では、タイミング指導6周期→人工授精6周期→体外受精/顕微授精
  • 35~39歳の方では、タイミング指導3周期→人工授精3周期→体外受精/顕微授精
  • 40~42歳の方では、早めに体外受精/顕微授精へ
  • 43歳以上の方では、体外受精/顕微授精を行っても出産率は3%以下と低いため、それしか妊娠方法のない方以外には体外受精/顕微授精をお勧めしていません。ただ、43歳以上でもAMH値が高い方は、卵子が多く採れる可能性があり妊娠率も高くなりますので、体外受精/顕微授精をお勧めしています
  • また、年齢は若いけれどAMH値が低い方は早めのステップアップが望ましいです。(AMHとは抗ミュラー管ホルモンで、卵巣に残っている卵子の数の指標となる検査です。)
  • ステップアップの時期は、最終的にご夫婦に決めていただいています。

私達は、すべての患者さんに何とか妊娠していただきたいと思い、頑張っています。しかし、現実には不妊患者さんの2~3割は、どうしても妊娠できません。体外受精や顕微授精の採卵を5回以上繰り返しても妊娠しない場合には、不妊治療を継続するかどうかについてよく相談しましょう。
梅ヶ丘産婦人科不妊外来の治療方針を述べました。私達は、この方法が最も適切だと考えていますが、不妊治療の進め方は病院や担当医によって様々です。不妊治療の進め方の一つの例と理解して下さい。