体外受精(顕微授精を含む)

体外受精とは

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体外受精は1978年に、この写真のケンブリッジ大学のエドワーズ博士と、ステプトー博士により始められた画期的な不妊治療法です。
注射針(採卵針)を用いて卵巣から卵子を採取し(採卵)、卵子を入れた試験管に夫の精子を入れて受精させ、その受精卵(胚)を、カテーテルを用いて子宮腔に戻す (胚移植) ことにより妊娠を期待する方法です。当院では1991年から体外受精を開始し、現在までに1万8千件を超える採卵を行っています。

もともとは両側の卵管がつまっている場合に適応された方法ですが、その後、子宮内膜症、抗精子抗体、子宮頚部因子、原因不明不妊、一部の男性因子などに対しても非常に有効であることがわかってきました。1980年代には世界中に広まり、現在までに世界で数百万人の赤ちゃんが生まれています。
一方、男性の精子の数が少なかったり、運動率が低かったりすると、体外受精でも受精しません。このようなケースでは、卵子に直接精子を注入して受精させる顕微授精を行います。
また、体外受精や顕微授精を通じてできた胚は、初期胚・胚盤胞まで到達したのちその周期に移植を行うか、または凍結保存します。凍結胚は後日融解して凍結胚移植を行います。胚凍結保存は確立された手技で、現在日本では体外受精で生まれてくる子の80%以上は一旦凍結保存した胚を融解して移植することによって妊娠しています。日本の出生児の約10人に1人は体外受精・顕微授精や凍結胚移植による妊娠です。
当院の辰巳院長は1986年に京都大学産婦人科よりオーストラリア、アデレード大学に派遣され、体外受精-胚移植法の技術を修得しました。帰国後、京都大学体外受精チームの中心メンバーとして活躍、以来30年以上にわたり、体外受精の臨床の第一線で活躍しています。 また当院は、JISART(日本生殖医療標準化機構)の厳重な審査にパスし、施設認定を受けています。

体外受精/顕微授精は次のような流れで行われます。

1. まず、排卵誘発剤による卵巣刺激を行います。

体外受精では、妊娠の確率を上げるために、原則として、排卵誘発剤の注射や内服を行い複数の卵胞を育てます。日本では低刺激法をメインとしている施設も多くありますが、採卵あたりの妊娠率はどうしても低くなります。当院では個々の患者さまの卵巣の機能や排卵の時期、薬剤への反応性などを考慮して、その患者さまにとって最も適した卵巣刺激法を行っていきます。この方法により、必要最小限の採卵回数でご妊娠いただくことが可能になります。
当院では以下に示したすべての卵巣刺激法を行うことができます。主治医から患者さまごとにそれぞれの提案が行われますので、ご相談しながらすすめてください。

卵巣刺激を行っている間には数回来院いただきます。必要があれば血液検査を行います。血液検査により、排卵を起こすシグナルの評価・注射の量の調整・卵巣過剰刺激症候群のリスクなどを検査します。卵巣の機能・卵胞の発育状態などにより血液検査の種類・回数などは異なります。

2. 次は採卵です。

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良い卵胞が育ったら、その中にある卵子を回収します。これが採卵です。 黒く丸く映っているものが採卵直前の卵胞です。
採卵は静脈麻酔を行い、超音波で見ながら腟から採卵針(長い注射針)で卵胞を穿刺し、その中にある卵子を卵胞液と一緒に吸引します。採卵に要する時間は5〜20分位です。患者さまの多くはうとうとしている間に処置は終わります。

3. 次は媒精、顕微授精、胚培養、胚凍結保存です。

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卵子がとれたら、ご主人に精子をとっていただきます。精子を調製し、卵子にふりかける操作を媒精(体外受精)といい、この操作によって受精が行われます。
ここで、精子の状態が悪いと、たとえ体外受精により卵子の周囲に精子を送り込んでも、精子が卵子の回りを取り囲んでいる透明帯という殻を破ることができず、受精できません。そのようなことが予想される時には、顕微鏡下に細いガラス管を使用し、精子を卵に注入して受精させる顕微授精を行います。これまでに顕微授精により世界で数百万人の赤ちゃんが生まれています。

ここは当院の培養室です。右に並んでいる箱が培養器で、卵子や精子、受精卵を培養しています。培養室内での操作は必ず2人で行い、一人が操作を行い、もう一人が間違いがないかをチェックします。このようなダブルチェックシステムを行うことにより、卵の取り違えなどが起こらないよう徹底しています。また、当院では先進医療に収載されている最新のタイムラプス装置(Embryoscope+)を導入し、より高度な胚培養システムを構築しています。

タイムラプス装置とは、培養器(インキュベーター)の中に卵をおいたまま、微量な光を当てて10分から15分ごとに写真をとり定点観察していく装置です。今までは卵の観察のため外に取り出して観察して評価していました。その際の胚の周りの環境の変化(pHや酸素・二酸化炭素・窒素濃度など)が胚発生に悪い影響を与えていました。タイムラプス装置ではほとんど卵に影響を与えないような周波数の光を当て経時的に胚をみていくことで、細かい胚発育がわかるようになりました。

受精卵は図の様に卵割していきます。原則として、胚凍結は初期胚(4細胞または8細胞期)、胚盤胞の段階で行います。この場合、まず1個の胚を初期胚で凍結保存し、残った胚で胚盤胞になったものを凍結保存しています。初期胚凍結を行っていない病院もありますが、子宮外の環境におく期間をできるだけ短くすること、また胚盤胞移植では子宮内膜に着床しづらい方が一定数いらっしゃることから、当院では初期胚凍結には意味があると考えています。

初期胚の場合には割球の大きさやフラグメンテーションとよばれる小胞の数の多い少ないによってグレードがつけられ、また胚盤胞では内細胞塊とよばれる将来赤ちゃんになる部分と、栄養外胚葉とよばれる将来胎盤になる部分のそれぞれの細胞の量によってグレードがつけられます。今までは胚の形態学的(見た目の)評価のみに頼っていましたが、タイムラプス装置を用いることで、実はどのようなタイミングで分裂するかも非常に大きな要素であることがわかってきました。当院では先進医療であるタイムラプス装置を用いることにより、より正確な胚の評価を行い、着床する可能性が高いと考えられる胚を選別して凍結しています。

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採卵できた卵子のすべてが胚盤胞となり凍結できるわけではありません。採卵された卵子は、成熟しているかどうか、受精できるかどうか、初期胚まで到達できるかどうか、胚盤胞まで到達できるかどうか、という一つ一つの条件をクリアして初めて凍結することができます。凍結できる個数は以下のように目安として10個卵子がとれて3つ凍結できるくらいです。一人ひとりによってばらつきがあるため、少ない個数の卵子から多く凍結できる場合もあれば、逆もあります。ですからやはりある程度の個数の卵子を採卵できることを目指して、しっかりと排卵誘発を行なっていくことが、妊娠にとっての早道といえます。

4. 最後のステップは胚移植です。

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採卵した周期にそのまま移植することを新鮮胚移植、胚を凍結して別の周期に移植することを凍結融解胚移植といいます。現在は凍結融解胚移植が主流ですが、より望ましいと考えられる時には新鮮胚移植を行うこともあります。初期胚、または胚盤胞を子宮腔に注入する操作が胚移植です。胚を移植用の培養液と共に細いカテーテルに吸って、超音波を見ながら子宮腔の最も良い位置にそっと置きます。痛みを伴わない操作で通常は数分以内に終わります。

5. 妊娠判定

胚移植の10〜14日後に妊娠判定を行います。妊娠判定は医療用の尿中hCG検査薬を用いますが、尿の検査のみで判断しにくい場合には血液検査を行います。妊娠が成立した後には、妊娠10週ごろまでしっかりと経過をみていきます。
以前は体外受精や顕微授精は特殊な妊娠方法でした。
しかし、その有効性や安全性により、最近では一般的な治療法となっています。 当院の28年間の経験の積み重ねと最新の技術の導入により、それぞれの皆様にとって最も良い体外受精・顕微授精を受ける事ができるよう、スタッフ一同できる限りのサポートをさせて頂きます。
当院での体外受精の実績について

よくある質問

Q 体外受精と顕微授精の違いは何ですか?
A
体外受精は、卵子に精子をふりかけることで、精子が自力で卵子に入り受精します。
しかし、精子の数や動きが悪い場合には、精子が卵子に入っていけず受精できないことがあります。
それに対し、顕微授精は1個の精子を、直接卵子に注入することで受精させます。
どちらの方法が適しているかは、精子・卵子の状態や治療経過を踏まえて判断しますが、原則は精子が悪ければ顕微授精、良ければ体外受精が適しています。
Q 体外受精はどのような方が対象になりますか?
A
体外受精は両側の卵管閉塞がある方だけでなく、子宮内膜症や原因不明不妊をはじめとしたさまざまなケースで検討されます。
一般不妊治療で妊娠に至らなかった場合や、年齢や検査結果・ご夫婦の希望を踏まえて早めに検討することもあります。
Q 排卵誘発は必ず行いますか?
A
体外受精では、個々の患者さまの卵巣の機能や年齢、薬剤への反応性などを考慮しながら、多くの場合に排卵誘発剤を用いて複数の卵胞を育てていきます。
その患者さまにとって最も適した卵巣刺激法を行いますので、患者さまによっては排卵誘発剤を用いない自然周期で採卵を行うこともあります。
Q 採卵は痛みがありますか?
A
当院では採卵の際に、基本的に静脈麻酔を使用いたしますのでほとんど痛みなく採卵を受けることができます。
ご安心ください。
Q 採卵した卵子はすべて胚になりますか?
A
採卵できた卵子のすべてが胚として凍結できるわけではありません。
卵子は成熟、受精、胚分割などいくつかの段階を経て、初期胚または胚盤胞になったものだけが凍結保存できます。
凍結できる胚の数には個人差があります。
Q 凍結胚移植と新鮮胚移植の違いは何ですか?
A
採卵した周期にそのまま胚を移植する方法(新鮮胚移植)と、胚を一旦凍結保存して後日融解して移植する場合(凍結胚移植)があります。
採卵周期は子宮内膜が着床に適していない状態であることも多く、新鮮胚移植は様々な条件を満たした周期に限り行っています。
Q タイムラプス培養とは何ですか?
A
当院では先進医療に収載されている最新のタイムラプス装置(Embryoscope+)を導入し、より高度な胚培養システムを構築しています。
今までは卵の観察のため外に取り出して観察して評価していましたが、観察の際に胚の周りの環境の変化(pHや酸素・二酸化炭素・窒素濃度など)が胚発生に悪い影響を与えていました。
タイムラプス装置ではほとんど卵に影響を与えないような周波数の光を当て経時的に胚をみていくことで、胚への影響をほとんど与えることなく適切に胚を評価することが可能となります。
Q 体外受精を行えば必ず妊娠できますか?
A
体外受精は妊娠の可能性を高める治療法の一つですが、必ず妊娠が成立するわけではありません。
胚や子宮内膜など、さまざまな要因が関係します。
Q 仕事をしながら体外受精は可能ですか?
A
体外受精は、仕事をしながらでも十分行うことができます。
採卵周期では概ね採卵日までに3回程の診察を行い、卵胞の大きさによって採卵日を決めていきます。
当院では採卵日以外の診察は、診療時間内であれば夕方以降に来院いただくことも可能です。
採卵日は朝来院いただき、昼過ぎに帰宅いただきます。
Q まずは相談だけでも可能ですか?
A
はい、可能です。
体外受精をすぐに行うかどうかは、検査結果やご希望を踏まえて検討します。
治療の選択肢や進め方について理解したうえで治療を開始していただくことを大切にしています。

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