一般的な精子調製法であるパーコール法では、遠心分離機を用いて精子をふるいわけて精子を集めます(遠心沈降)が、遠心による精子DNAへのダメージが懸念されています。当院では精液所見が正常の場合には、精子調製法にミグリス法を用いています。ミグリス法は遠心沈降を用いず、精子自らの移動と重力による沈殿のメカニズムを応用して運動している精子を回収します。当院では2020年に10,300件の人工授精のデータを解析した論文1)を発表し、ミグリス法では遠心沈降による精子へのダメージがないことで、特に女性の年齢が高いときに人工授精の妊娠率が向上しやすいことを報告しました。

1)FS Rep. 2020 Aug27;1(2)106-112.