当院では1991年から体外受精を開始し現在までに1万8千件以上の採卵を行っており、日本の体外受精を行う施設の中で草分け的な施設になります。現在当院ではすべての胚をいったん凍結保存し、別の周期に融解胚移植を行っています。このほうが安全で妊娠率が高いためです。現在日本の体外受精で生まれてくる子供の80%はいったん凍結保存した胚を融解胚移植して妊娠・出産へと至っています。

一般に体外受精の妊娠率は胚盤胞のグレードによって決まります。ここでは当院のデータをお示しします。もっともグレードの良いAA胚を凍結融解胚移植したときの妊娠率は40歳未満、全年齢でそれぞれ70.7%、67.7%でした。
また当院では初期胚の移植も行なっています。体外受精/顕微授精の際には基本的に最初に一番良い胚を初期胚で凍結し、残りの胚は培養を続けて胚盤胞になった胚を凍結していることから、当院の初期胚の妊娠率は高いです。最もグレードの良いG1胚を移植したときの妊娠率は40歳未満、全年齢でそれぞれ52.4%、40.4%でした。初期胚移植を行っていない病院もありますが、子宮外の環境に置く期間をできるだけ短くすること、また胚盤胞移植では子宮内膜に着床しづらい方が一定数いらっしゃることから、当院では初期胚移植には意味があると考えています。

最後に、近年妊娠率を公表するクリニックが増えましたが、患者さまにお伝えしたいこととして、各クリニックの妊娠率を比較することはあまり意味がありません。ある程度の規模のクリニックであれば、大きく妊娠率は変わらないはずであり、これらの数値の違いは、どのような患者さまを対象として治療を行っているか、凍結する胚をどれだけ選んでいるかに由来しています。たとえば若年の方ばかりを多く採卵していたり、着床できる可能性のある胚でも細胞数により厳しい基準を設けてふるいにかけることによって、高い妊娠率を出すことができます。当院では、当院の医療に自信をもって患者さまにご提供していますが、患者さまがクリニックを選ばれる際には、数値だけで判断するのではなく、通いやすくまたご自身と合っていると考えるクリニックに通っていただくことが望ましいと考えます。

医療法人社団栄賢会梅ヶ丘産婦人科