人工授精では精子を子宮腔へ注入することにより腟・子宮頸管をバイパスできるため、軽度乏精子症・ヒューナーテスト不良・原因不明不妊・性交障害などの場合に特に効果を発揮します。体外受精では受精卵を子宮内に直接戻すことで卵管を使わない妊娠になりますので、妊娠率は体外受精のほうがずっと高くはなります。ただし、体外受精には排卵誘発や採卵に伴うリスクがあり、費用も高額になります。
当院が発表したデータによれば、当院での約17000件の人工授精から、1回あたりの妊娠率は、30歳前後・40歳未満・全年齢層の患者さまにおいて、それぞれ10%・8%・6%でした。また複数回行っていくことで累積妊娠率は上昇していきます。
体外受精を行っても、リスクに見合うだけの妊娠率が期待できない場合や、体外受精を何回行っても妊娠しない場合にも卵管さえ通っていれば、ステップダウンによる人工授精は有効な治療の選択肢の一つといえます。

医療法人社団栄賢会梅ヶ丘産婦人科